2024年9月、従業員Aさんは雇止めの通知を受けました。理由は、組織体制の刷新、担当業務の縮小、正社員で固めるとのことでしたが、この雇止めは、Aさんが公益通報したことへの報復の可能性が高いと考えています。
  Aさんは、社長の身内である従業員B氏が育児休業給付金を不正受給していることを知り、ハローワークに通報しました。このB氏の不正受給に関して、あろうことか社長も了承していました。同年9月2日、ハローワークが会社を訪問し事情聴取が行われB氏は返金に応じました。そして、同日夜、Aさんは、社内のSlack・労務管理freee管理者・Hubble等、全ての権限を外されました。
  上記の問題について、団体交渉を行い雇止め撤回を求めましたが、会社側は報復による雇止めを否定し、以前から決まっていたと述べていました。全てのアクセス期限を奪ったことに関しては、9月から正社員が入社したからという説明でした。本来なら、この重大な問題に対し、社長が団体交渉に出席し自らが説明し、問題解決を話し合うべきだと思いますが、今のところ2回の団体交渉には欠席しています。
  ところで、厚生労働省は、こうした不正受給に対し、「不正を行ったとき 不正な手段で育児休業給付の支給を受け、または受けようとした場合、不正受給の処分を受けます。 このような場合、不正受給した金額の3倍の金額を納めなければなりません。 事業主等が虚偽の支給申請書等を提出した場合等は、事業主等も本人と連帯して処分等を受けます。」としています。事案によっては刑事事件に発展します。
  不正受給に関わった社長は、危機意識を持っているとは思えず、身内であるB氏に対し一回の減給で終わらせていますが、会社ぐるみであることは明らかです。一方で、通報した従業員は退職させられており看過できる問題ではありません。
  今後、Aさんの地位と名誉の回復を求め交渉を行うとともに、しかるべき対処を考えていきたいと思います。